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某国立新高等学校

第17章 フリージア


「果音、何キョロキョロしてんの?」

「あ、えっと………」


ビールジョッキを両手に持ったなぎさはニヤリと笑った。

「ショータね、少し遅れるって。まったくも〜。
先に一回目の乾杯しちゃお!」

(やだ……なぎさにはいつもお見通し……)


「それでは『食堂りりぃ』とみんなの前途を祝して!」

「かんぱ――――――――い!!」

みんな笑顔でジョッキやグラスを合わせる。


(こんな幸せな日が来るなんてあの頃には想像出来なかったなあ。)


「みんな見てくれ。浅茅くんからまた絵葉書が届いたよ。」

蕗田先生が綺麗な海岸の絵葉書を掲げた。

「今どき『絵葉書』かよ!」
賢人が言う。

「ちょっと!賢人!失礼でしょ!」
いち子が賢人の耳を引っ張る。

「イテテテッ!逆に味があっていいなって言おうとしたんだって!」
「本当にぃ!?」
「本当、本当だから手ェ放して……」


「こんな調子だけどあの2人最近一緒に暮らしてんだよ。」
なぎさが耳打ちする。
「えー?マジで?」


私たちの解放に尽力してくださった浅茅先生は大病院を辞めた後、離島の診療所の一人医師として再出発されている。




………………キキキキキキッ……

その時、外から甲高い金属音が聞こえた。

莉里が立ち上がった。
「あ――ショータだ。未だにママチャリ乗ってんのよ。うるっさいブレーキ近所迷惑、油させって何度も言ってんのに!」

「ママあ、おしっこ!」

「わあ!ごめん、果音、悪いけど外行ってショータにチャリは店の前じゃなくて脇に停める様に言ってもらえる?最近商店街で決まりが出来て………」

「ん、分かった。」

私はグラスを置いていそいそと外に出た。





「希望くん、ナイス!」

なきさがジョッキを掲げてウィンクする。

皆も静かにガッツポーズ!?
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