第2章 キミを探しに。
バチバチッと今だに電気を帯びている靄は、皐月を離そうとしない。周りの木くずも電気の熱で燃え、そろそろ一酸化炭素中毒になる恐れがある。
「・・・仕方がない」
藍がカーディガンの裾をピッと直し、紫色の靄へ近づいて行くと、藍の思考回路がバチバチと誤作動し始めた。・・・・大変危険だ。
「人間のくせに、よく平気だよね」
はぁ、とため息をついて靄に手を伸ばす。危険は承知だ。でも、危険を冒してでも皐月を助けなければいけない気がして今の行動に至る。
「今、助けるから」
バチィッッッ!!
靄に触れた瞬間ぐわんと頭が揺れ、回路のところところでオーバーヒートを起こし始めていた。
「う、あっ・・・皐月っ・・・」
呼吸器官が電気で圧迫されて苦しい。藍が紫の靄の中に手を伸ばすと、電気でさえぎられることはなく、すんなりと靄の中に手を入れることができた。
そのままもうほうの手も靄に突っ込み、体も入れるとさらに回路が壊れているのがわかった。
「・・・皐月?」
靄の中でふわふわと浮いている皐月は、人間でも妖怪でもない姿をしていた。
金色の耳としっぽに鋭い爪。そしてなぜか巫女服。これは・・・いわゆる、半妖というやつだろう。
そして皐月は七色の涙を流していた。