第2章 キミを探しに。
「ひっ!ほ、ほら見ろッ!お前のせいだぞ!妖力暴走してるじゃないか!」
「う、うるせぇよ!早く逃げようぜ!」
冷や汗を流し、大きなスーツケースを持って男どもはひぃひぃ言いながら足早に倉庫から逃げ去って行った。
「あ、ちょっとっ!!」
サビ臭い倉庫には暴走状態の皐月と、藍だけが残された。
「あ・・・ぅ・・・みか、ぜ・・・・うぁ・・・・体、あつ、あっ・・・」
自分の体を抱きしめるように蹲り、ガタガタと震え始める皐月。
「ちょっと、大丈夫?どうしたの」
妖力を持っている人間に会うだけでも初めてなのに、妖力が暴走だなんて。
藍は急いで脳内検索にかけるが、妖怪のことなんて一切出てこない。まず、出てくるほうがおかしいのだ。
「みか、うっ・・・ああああああああああああああっ・・・・」
皐月が今にも消えそうな悲鳴を上げると、背中に張り付いていた紫色の靄が皐月の体を包み込んだ。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああっ」
皐月がまた悲鳴を上げると、バチバチッと靄が電気を発生し始めた。普通の人間なら、死ぬほどの電力だ。妖力のせいで、無事だと願おう。
藍は頬に飛んできた小石を交わした。