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人間拒絶症~美風藍~

第2章 キミを探しに。


「やっぱり、あの美風藍か・・・」
拳銃を持った男がニヤリと笑う。藍が男に暴力をふるい、アイドルをやめるなどと甘い妄想でも繰り広げているのだろうか、そう思うと藍の頬は自然と緩んだ。

「そうだよ。ボクがあのアイドルの美風藍だよ」
ゴギッと首と手首を鳴らし、一歩一歩男に歩み寄ると、またパンパンと発砲する。

「だから、そんなの当たんないから。ほら、早く皐月返してくれない?」
またひょいひょいと銃弾を交わし、皐月をちらりと見ると目があった。

「みか、ぜ・・・」
今にも消えそうなか細い声で藍に助けを求める皐月は、通常の皐月からは想像できないくらい弱々しくて藍は守りたくなった。
もうひとつ弾丸を交わし、ニッと余裕のある笑みを皐月に見せると皐月は涙でぐちゃぐちゃになった顔でやわらかく笑った。

「瑠璃川家は、皐月を道具のように扱ってきたんでしょう?
だったら今更、取り返す必要性もないんじゃないの?
それに、皐月は自分の意思で瑠璃川家を出たんだよ。
いやがっている女の子を、無理やり連れて行くの?
いくら家の人でも、犯罪者に見えるよ」
早く返せよ。そんな思いを込めて言い切ると、男どもがチッと舌打ちをした。
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