第4章 2度目の事件
明美さんの手から力が抜けていくのが見てるだけでもわかった。
ゆっくり滑り落ちていく手を見てお兄ちゃんは声を漏らす。
宮野 明美
「頼んだわよ…。小さな探偵さん」
そしてその言葉を残すと、明美さんの荒い呼吸は完全に聞こえなくなった。
「うそ…」
コナン
「………」
「ほ、本当に死んじゃったの…?何で死ななきゃいけなかったの?」
妹の為に命懸けで戦った宮野 明美さん。
なぜこんなに優しい人が危険な組織に所属していたのかはわからないが、それでもこんな所で妹さんにも会えずに死ぬ必要はなかったはずだ。
追いかけてきた私の事まで守ってくれたのに何もできなかった無力感。
全てに絶望した答えを求めない問いを漏らした時、ようやく警察や担架を持った救急隊員が到着したのだった。
*✿✿✿✿✿*
「………」
コナン
「やっぱりこうなったな…」
私達の目の前のテレビでは数日前に犯人死亡で解決した事件の特集があっていた。
そのニュースは世間を賑わせた10億円輸送車強奪事件。
3人の犯人は全員死亡。
犯人が強奪した10億円はホテルのフロントに預けてあり、仲間を殺害後に罪に耐えかねて最後の1人が自殺したとして幕を閉じたのだった。
「…あの人は撃ってない」
コナン
「知ってるよ」
「…自殺じゃないのに」
コナン
「…組織のやつが細工してたんだろうな」
なぜあの状況で明美さんが自殺扱いになったのかというと、それは男達が残して行った拳銃のせいだった。
その拳銃から明美さんの指紋だけが検出されてしまい、特に捜査もされないまま事件が終わったのだそうだ。