第4章 2度目の事件
きっとうるさいのはお父さんよりお母さんの方だ。
「…よし」
でもこのチャンスを逃す事などできるはずもなく、私はお兄ちゃんのせいにして乗り切る事を決めてパチンコ屋へと足を進めた。
?
「おいおい、お前そこに入る気か?」
「っ!」
でもその足はとある声と手によって止められてしまう。
パチンコ屋に入るという罪悪感のせいか、肩に手を置かれた瞬間ビクリと体が跳ねた。
恐る恐る振り返ると、そこにはお兄ちゃんと同じくらいの歳の男の人。
?
「お前高校生くらいだろ?」
「…中学生です」
?
「中学生!?尚更なんでこんな所に入ろうとしてんだよ!」
どうやら心配して声をかけてくれたようだ。
何となくお兄ちゃんに似たような雰囲気の彼に少し心が落ち着いてくる。
「お兄ちゃんがここに入って行っちゃったから追いかけないといけなくて…」
?
「なんか事情がありそうだな…。でもだからって兄貴を追いかけて中に行かせるのも危ねぇし…」
うっかりお兄ちゃんと行ってしまったが、さすがにここに小学生が入ったという方が理由を考えるのが難しいので良かったのかもしれない。
そんな事を考えながら、まるで昔からの知り合い相手のように真剣に頭を悩ませる彼を見つめる。
?
「あ、兄貴の所まで俺がついて行ってやればいいのか」
「へ?」
すると彼から私とお兄ちゃんにとって不都合な提案が出てきた。