第2章 ◇好きと勝手と裸の二人◇
「ぷ、はっ。窒息するわ!」
「んはははっ」
「…」
唇舐めながら、満足そうに笑う。その細い右の目が本当に赤くなってたから、ちょっとは悪かったと思ってたのかな、俺。この辺で多少ガードが下がっちゃってたかもね。
「…ちゃんと目ぇ、流しとけよ」
「ん?もう…大丈夫」
「残ってるかもしんないから。ちゃんと」
「はぁい」
素直にシャワー浴びてる。
水遊びしてる子供みたいなそれを横目で見ながら、俺は湯船に入った。
習慣で溜めちゃってたから。もったいないから浸かる。腰のためにもね。朝から湯船でまったりなんてリッチでしょ?そーなんすよ。ま、これでもそこそこ稼いでるんで。ええ。
「ふんっ」
「!」
犬みたいに頭をぶんぶんしたヤツから飛んだしぶき、コッチも目に入ったけど!?
まあ…シャンプーの泡じゃないし。しみないから、まあ。いいよ。多少気分いいから許す。体もあったまって大分緩んできたし。湯船に浸かった方がいいだろうなっていう原因がそもそもコイツなんだけど。まあ…いいとしよう。めちゃくちゃいい湯加減なのに免じて。
やっぱり偉大だな~、風呂は。リラックス効果ハンパないね。心も寛大になっちゃう。