第1章 ◇言っとくけど俺よりひどいから◇
「気持ちいぃ…」
「流すよ」
「もぉちょっと…して♪」
「…」
して、とか言うな。天然。
頭皮をマッサージ。貴重な髪も優しくウォッシング。
洗髪だけで…マジでイきそうな顔してんな(笑)。
「いい?」
「いぃ~…」
素直すぎて素直に可愛い。
「もっと、もっと強くぅ」
「はいはい」
でも貪欲。
いっつもそう。
好き勝手言って。好き勝手に来ては帰って。やりたい放題。相手が俺なら何やっても許されると思ってる、まさに傍若無人。
まあ
嫌いじゃないけどね。楽だし。
それでもきっと
本気の本気では甘えられてないんだろうと思う。
それが少し、悔しい…というか
なんだろ。
人見知りなようで、馬鹿みたいにすぐ心許しちゃうとこもあって
だから
この人にとっての一番、みたいなのが
…まあ、どうでもいいんだけどね。