第7章 ◇You and I◇
こうしてベッドに横になると、蘇ってくるのが
嫌。たまらなく。だからベッドでは寝られないんだよ。ヤツの呪いのせいで。
もう匂いも何も残ってない。正直。ちゃんと洗濯してるから。
それでも
あの天井を眺めながら、俺の体とそのすべてをいいようにむちゃくちゃ自分勝手に包み込んでた
ちっこいくせにおっきいあの人が
うすっぺらいくせに妙に力強いあの人が
時々視界に入っては、妙にいい顔で見下ろしてる。
もっとすごい、エグめのシーンだっていっぱいあるのに、なぜか一番思い出すのが
そういうやつなのが嫌。
誰にも見せないような、怖いくらいに集中して真剣そのものの真顔
を眺めてた俺に気付いた瞬間
スイッチ切り替わったみたいに
緩み切った溶けかけのアイスクリームみたいな顔で
『…見んな』
すでに真っ赤な顔をさらに染めたみたいなさ。
あんなドロついた腐ったことしてると思えないくらい
いろいろ、今更なのに
『…見てねえわ』
自動的な返答に、向こうもたぶん自動的に返す。
『嘘。見ろ。俺を』
わかってる。天邪鬼なのは俺よりあなたの方。ダメって言われたらやっちゃう。何でも反対のことしたくなる。俺なんてむしろ素直なもんだよ?
だから
『俺を見ろ。…和也』
俺が言わせたのかもしれない。
けど
『おまえは、俺を見ていろ。ずっと』
向こうが自動的に吐いたそんな戯言でも
澄み切った強い瞳を無駄にきらめかせてるから
嘘がないとわかってしまうから
悔しいけど、言葉を奪われてしまうんだ。
そんな俺を
意味わかんないその涙目に、また勝手に映しとって
火だるまみたいな熱で
俺を中からも焦がして
もうどうしようもないくらい
いろんなものを
壊していった
あいつが
俺は