第6章 ◇WHY◇
でも…
なんだろね。世間一般の常識的に嫌だって思う俺の感情より、俺を求めるヤツの方が強かったんだろうね。大体、何にしてもあの人に勝てる気しないし。勝負する気にならないもん。
それでもさ
成り立たないとは思う。もし、俺の中にあの人のことを求める気持ちが一ミリもなかったら。
積極的に求めてるとかじゃないよ?もちろん。
そうじゃなくて
だってズルいじゃん。もともと、そもそも、ベースが好きなんだもん。その感情がある以上…
勝負にならないんだよ。本気で、むき出しの素でこられたら。逃げ場ないし。
嫌々…
のハズだ。じゃなきゃおかしい。いろいろ。俺はノーマルで、ちゃんと結婚して。普通に人生送ってんだから。
でも
「何で?」
ドストレートに聞かれたことがある。何で相手してくれるのか。何度も男の自分に抱かれるのか。
…『何で?』?
いや
こっちが聞きたいよ。
何で?
ねえ
わかるんだよ
たぶん正解に近いだろうなってことは
感覚としてわかってはいるんだけど
わかっちゃってるんだけど
それでもさ
何でだよ?
…違うか。
もはや「聞きたい」じゃない。
「言いたい」んだな。
俺の我慢が限界。