第5章 ◇合鍵の意味◇
そんな気に入ってたならあーたが借りればって言ったら、また意味不明なこと言うの。それも想像を上回ること言ってくるから。
『いやだ』
「なんで。金あるでしょ、そのくらい。そんな気に入ってんなら――」
『俺が全部払ったら。…意味がない』
「いや、俺が借りてる意味の方がないんだって。自分で借りなさいよ」
『そしたら“合鍵”じゃなくなるだろ!!』
ね。
意味不明のキレ方されて。こっちもさ。
どうしていいかわかんなくなるからやめろって話。
てか、半分払う時点でいわゆる合鍵とは言わないんじゃねえかとか思わなくもなかったけど
まあ
こっちもさ。何かあったときの避難所としては、何かしらの居場所はあってもいいかなっては思ってた。ま、そのくらい稼いでなくもないから?なんせ天下の嵐だからね、俺だって。
だから
まあ
俺が、ただの二宮和也になりたいとき用…
っていうか、ほら。曲作ったりとかさ。セリフやったりとか?
まったく人の気配とか気にしないで、すべての警戒を解ける場所ってのがひとつくらいあってもいいかなって。頑張らない場所?
それが理由だよ。
実家に送るのもなっていう俺の荷物とか、それこそ嵐の諸々だとか、置く場所も欲しかったし。そんな理由。
だから
いまだに解約してないっつっても、ほっとんど、来ないんだけどね。ここには。
でも、俺の、俺だけの居場所。
そう思うと妙に落ち着く…。