第4章 ◇怒れる窃盗犯◇
二「かわいそー、メイクさん」
大「!」
わー、こっわ。二人だけだとマジで露骨な顔だな。
大「おまえのせいだろ!!」
二「えー、何でですかー?」
大「な…。何でじゃない!何で!起こしてくんなかったんだよっ!?」
二「ええ?寝てたから」
大「・・・・・」
うーわ。すごいよ。仁王像?阿修羅像だっけ?
ああ、違う、あれだ。
リアル・魔王
って感じ(笑)。
ま、俺は悪くないし?一方的にいちゃもんつけられるのもだんだんムカついてきたから、そろそろ反撃に転じるかな。
二「大体さ。そっちこそ何なんすか」
大「…何が」
二「収録ある日の朝っぱらから、体力あっこまで使うってどうなの」
大「う…」
二「そもそも、昨日だっていきなり来てあんな…。完全被害者だから、こっちが」
大「…。被害者、って」
二「今日はたまったま、収録前にちょっと打ち合わせするからって集合早かったから、結果として収録には間に合ったけど。でも仕事としてはアウトだよね、完全に」
大「…」
二「だいたい、そのせいで眠そうな顔されたら迷惑。自業自得なのに」
大「それは…ゴメン…」
二「そこは四人にゴメンだよね。そう思ってんなら全力でやって?ちゃんと」
大「…ハイ」
二「巻ければさ、その分打ち合わせも早く終われるんだし。後日改めてーなんてことになったらスケジュール調整とか大変なんだから。みんな忙しいんだからね」
大「…スイマセン…」
二「あと。鍵。ちゃんと閉めてきたでしょうね」
大「はい!それはバッチリ!!」
二「どれ。見せて」
大「え?あ…鍵はカバンに…」
二「出して」
大「…なんで」
二「回収するから」
大「え。何で?」
二「何で、じゃないよ。当たり前でしょ。いい加減返して?私のなんで」
大「違う。これは俺の!」
二「いや、私のだから。うちの合鍵なんで。勝手に持ってっといて何――」
大「嫌だ!絶対返さない!!」
二「…」
聞きました?
ここに窃盗犯がいますよー!誰かー!捕まえてー!!
誰か
誰でもいい
捕まえてくれるなら
俺は
俺にはできないから
鍵は渡しても
彼を閉じ込めておくことは