第3章 3章
「ふぅ……」
書類作業が一段落してため息を漏らす。
窓を見ればもうすっかり夜になっていた。
体育館の方はまだ明かりがついていて、今も運動部の子達が部活動に励んでいるのだろう。
そういえば今日は紫原くんを一回も見ていない。
…まぁたまにはこういう日もあるのだろう。
学生なのだから勉強や部活に力を入れてもらわないとね。
「先生、お疲れ様です。そろそろこっちも閉めちゃいますよ〜」
今日の見回り担当の先生がいらして鍵をチラチラとチラつかせる。
「あ、直ぐに出ますね!お疲れ様でした。」
私は一礼すると荷物をまとめて保健室を後にした。
校門を抜けて駅の方向へ歩く。
今日は週末が近いだけあって浮かれ気分で歩く人達が大勢いる。
明日は自分もお休みなのでたまには家でケーキなどを楽しむのもアリかもしれない。
そういえば駅の地下街に新しくケーキ屋さんができたと女子生徒達が教えてくれた。
よし、今日はそこに寄ってから帰ろう…
疲れから来るあくびをかみ殺し駅に向かって歩いていると、向こうの方からフラフラと歩く若い3人組の男達が近付いてきた。
そしてそのまま…
ドン、とそのうちの一人と自分の肩がぶつかってしまう。
バランスを崩し私はその場に座り込んでしまう。
「す、すみません…」
「あ〜?いってぇなぁ…骨折れたかもしんねー!」
「ちょっと慰謝料渡してくんないとなぁ?」
ぶつかってきたのは明らかに向こうなのに何故か私が責められる側に。
「え、えっと…」
私が困っていると3人の内1人の男が私の腕を強く掴む。
「良いから来いって!!」
「うわっ…!」
私はそのまま3人組の男に薄暗い路地に連れて行かれてしまう。
「よく見たら可愛い顔してんじゃん?」
「丁度いいや、俺らと遊んでもらおうぜ。」
そのまま壁に抑え込まれて身動きが取れなくなる。
「っ…………」
生まれて初めての恐怖に身が竦む。
誰か。
誰か……!