乙女ゲームの一生徒に転生した私は穏やかに暮らしたい
第2章 情報整理が夢でした
ハンガーにかけていた制服に袖を通す。
我らが由比ヶ浜第一高校の制服は、男女共にブレザーだ。
大きいリボンと短めのチェックのスカート。トップスは若干胸元が強調されているデザインな気がするが、下品な感じはなくて、寧ろお上品な印象を与えているから不思議だ。
可愛らしいが、二次元の学校の制服だからか、三次元に住む前世の私の感性からしたらこれを着ていると落ち着かない。
何だか制服に着られているような気がするが、三年間着続けていれば慣れるのだろうか。
ぼんやりと考えながら、私はカバンを手に取り玄関に移動する。
前世の記憶を得てからは初めての登校だ。
「行ってきます」
リビングにいるであろうお母さんに声が届くように大きめの声を上げ、私は玄関の扉を開けて学校へ向かった。