乙女ゲームの一生徒に転生した私は穏やかに暮らしたい
第4章 仮入部期間は張り切るべき時
「覚えてますよ。雪乃理沙、です」
「理沙ちゃんか、よろしく! 俺は旭敬人」
ナチュラルに名前呼びしてきた!? 先輩の余裕なのか、それとも敬人さんはサラッとこういう事が出来る人なのか……。
「あれ、そう言えば何で理沙ちゃんは、俺の教科書届けられたんだろ? 名前言ったっけなぁ」
敬人さんの呟きは……聞かなかった事にしよう。
ゲームの知識がある故に、一方的にあなたの事を知っていたからです。それが答えです……。いやまあ、言える訳がない。
「取りあえずさやかちゃん、理沙ちゃんが先輩の圧に倒れちゃう前に手離してあげて?」
楽しそうに笑う敬人さんの言葉を聞き、
「あ、確かに。ごめんねー急に! つい……」
さやかと呼ばれた先輩は、やっと肩から手を退けてくれた。