【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】
第1章 【ヒロアカ 】【自作】裏切りの痕には※轟・爆豪【R18】
今轟は何て言った?
私を好きだと言った?
離れていく轟の腕を掴む度胸は無かった。
今私の中には今まで以上の後悔しかない。
目の前の、離れていく轟が悲しいのに、何も出来ないで見送るしか出来ない。
グッと胸の下辺りに痛みとが襲う。
私は患部を押さえてその場に膝を付く。
涙は出なかった。
その代わりに、体が悲鳴を上げているように、胸や、痛みを訴える胃に顔を歪める。
頭を地面に付けると、自分のした行為に死にたくなる。
Tシャツの胸元から覗いて見える、爆豪が付けた痕が私を笑っている様だった。
どんなにその時を正当化したくても、ハッキリと私が轟を裏切った痕が私の体中に付いている。
轟が傷付けばいいとさえ思っていた。
なのに、今傷付いているのは自分の心だ。
自分がした行いが自分に返って来ただけだ。
私は唯一欲しかった轟の気持ちさえ、自分の手で手放したのだ。
早く部屋に戻って、ベットに倒れ込みたい。
動かない体を、今でどうやって動かせていなのかも分からない。
「‥痛ったぁ。」
私はズキズキ痛む胃を抑えながら、その場で呟いた。
もう私を抱く轟の手はないと、それを手放したのは自分だと言う事実に私は目を瞑る。
どんなに辛くても、時間は平等に流れて、朝になればいつもの日常が始まる。
この雄英で、精神的な甘えは誰も許してくれない。
だって私はヒーローになるのだから。
どんな時でも、地に足を着けていないといけない。
一睡も出来なくても、それは何の言い訳にも出来ない。
朝、寮の共有スペースに行けば、私の顔の悪さにクラスメイトは顔を顰める。
「‥どうした?上條‥。」
拳藤は私の肩を摩る様に手を触れた。
私は何でも無いと、笑ってみせた。
それが彼女が満足出来るような笑顔で無かったのは、彼女の顔を見れば分かる。