【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】
第11章 【HUNTER×2】義眼の花嫁【R18G】
キルアは私に懐いていた。
それが何故かは分からないが、1つの理由としては、こうしてキルアと普通に接しているのが、使用人の中で私だけなのもあるだろう。
キルアと離れてまた長い廊下を歩いて行く。
屋敷から出ようとした所で、今度は私を待っていたのはイルミだった。
私を待っていのだと聞かなくても分かっていたので、私はイルミの側までそのまま歩いた。
イルミの目の前で止まると、イルミは私の顎を掴んで私の顔を覗き込む様に見た。
「念を解いて…。」
イルミに言われて自分の右目に溜めていた【流】を解いた。
途端に痛みと血が目から溢れて、涙の様に頬を伝うのが分かった。
ポタポタと床に私の血が落ちて行くのを、イルミは目を細めて見ていた。
「……おいで…、綺麗に治してあげる。」
そう嬉しそうに笑うイルミに眩暈がした。
【ナニカ】の対価の度合いが分かって嬉しかったのか…。
それともこうして血を流してイルミの前に立っている私の姿を見れたのが嬉しかったのか。
聞こうとも思わないので、イルミの心情なんて私が分かるはずが無かった。
(このサイコ野郎…。)
私はいつも通りに笑顔でイルミに心の中で悪態を吐く。
私がキルアと普通に接している理由。
それもまた、イルミからの指示だった。
キルアに怪しまれない様に、彼の懐に入って、私が得たキルアの情報は全てイルミに流れる。
心配そうに私を見上げたキルアの表情を消す様に、私はゆっくりと目を閉じた。
イルミの手が私の肩に触れ、そのまま彼の部屋へと移動するのだろうか。
私はまた戻りたくも無い屋敷の奥にイルミに連れて行かれる。