【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】
第11章 【HUNTER×2】義眼の花嫁【R18G】
これで【ナニカ】は【アルカ】に戻るだろう。
結局はすぐに【彼ら】の都合で【ナニカ】は呼び出されるかもしれないが。
私は抜き取られた目を自分の手で押さえながら、【アルカ】の部屋を出た。
しばらく長い廊下を歩いていて、私の前に現れたのはキルアだった。
キルアに気が付いた私は、すぐに【ナニカ】に見せた同じ笑顔をキルアにも向ける。
キルアはそうすると気まずそうに私から顔を背けた。
「……どうしたの?」
何故キルアが私に会いにきたかなんて分かっていた。
きっと【ナニカ】の為に呼ばれた私が無事か確かめにきたんだ。
だけど、素直にそう言えないキルアの顔を見て、なんだかホッとした。
こんな家の中でも、私が息をつける存在が居るからだ。
「ごめん…。」
私の顔を見ないで小さくそう呟いたキルアの頭を私は撫でた。
少し恥ずかしそうに嫌がっていたが、キルアは私の手は払わなかった。
「傷…大丈夫?」
「…ああ、流で防御力移動したから大した事無かったよ。」
私がそう言っても、キルアは理解出来なさそうに、私の傷だけ見ていた。
彼はまだ、イルミの管轄の中念を教わっていないから。
「とにかく、大した傷じゃ無いって事だよ。それにキルアのせいでも無い。」
そう言って、キルアの頭から手を離すと、私はキルアから離れた。
本来、ゾルディック家の使用人で、キルアを呼び捨てにする人物は居ない。
執事の後藤でさえ、【様】を付けている。
勿論、後藤の目の前でこの言動をしていたら、私もただじゃ済まないだろう。
だけど、後藤もまたそんな私の言動は見て見ぬふりをしている様だ。
まぁそれは、私の為というよりキルアの為であるだろう。