【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】
第11章 【HUNTER×2】義眼の花嫁【R18G】
「仁美、【ナニカ】の部屋に行って。」
「…はい、イルミ様。」
そう言って向かった【アルカ】様の部屋。
イルミに言われて素直に従うのは、私がゾルディック家のただの使用人だからだ。
部屋の前で足が止まりそうなほどのの念の波動。
足がすくむのは、私が念能力者として未熟な訳では無い。
念を取得していないなら、この異様な空気すら感じないはずだ。
イルミが【アルカ】様を【ナニカ】と言った時点で気が付いていた。
「仁美の片目を頂戴。」
………あのクソ野郎…。
この【ナニカ】の代償を拒むんだリターンは説明されなくてもすぐに分かった。
「……いいですよ…【ナニカ】様…。」
私はそう言って、自分の顔を【ナニカ】に差し出した。
【ナニカ】は笑いながら、私の眼球を嬉しそうに取り出した。
そう、それは決して【彼女】が望んでいた事では無い。
私はなるべく【彼女】か傷付かない様に、笑顔を絶やさずに【彼女】に向けた。
ググッと音がして、【ナニカ】が私の眼球を丁寧に取り出した。
痛みを笑顔に変えるのはこんなに難しいと初めて知った。
痛みに身を任せてこの床をのたうち回るなら、まだ痛みを紛らわす事が出来たのかも知れない。
しかし、私はそれをしない理由が明確なあった。
監視する為に、【彼女】の部屋に付けられている複数のカメラ。
それをレンズ越しに見ているだろうゾルディック家の人間達。
そして、取り出した私の眼球を嬉しそうに見つめる【ナニカ】と。
よぎった幼いキルアの横顔。
カメラ越しに覗いているゾルディック家の人間には、なんの感情も無かった。