【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】
第5章 【ヒロアカ 】【自作】毒の花※死柄木【R18】
弔はさっき、私はコレの共犯だと言った。
全てを理解した時に、私は恐怖の他に、絶望感で体を震わせている。
アイツらから私を買った様な男だ。
まともな人種では無いと想像は付いていたはずなのに、目の前の光景は自分が考えていた弔より、遥かに遠い世界の人だと私に教える。
気を失う様に、その場に倒れると、再び私を起こしたのは、弔の声だった。
弔は、私の顔を掴んで上げると、私の顔を覗き込んだ。
もう弔の赤い目からは、何の感情も読み取れない。
「‥これ、仁美ちゃんの?」
弔はそう言うと、賃借書を私に見せる。
そこには私の借金の額と、私の名前が書いてあった。
さっきまで聞こえていた叫び声はもう聞こえていなかった。
もうこの建物には、私と弔しか居ないのだろう、弔の声は響いて聞こえた。
私は虚な目で賃借書を確認すると小さく頷いた。
そんな私の行動を見て、弔の目の光が薄っすら動いた。
「正気が無くなった面してるな。」
何が楽しいのか、弔は笑いながら言った。
そんな弔の声を頭上で聞きながら、このまま顔を上げる事が出来なく、私は床に頭を押しつけたまま、動かなかった。
それをまた、弔は顔を上げさせる。
弔が握った、私の書類が一瞬でチリになる。
「これで自由だ。」
弔の笑顔を見て、私は目を細める。
そして弔は私を抱き抱える為に、私の体に触る。
アイツらの様に、チリになるかもしれないと思った。
だけども、弔の腕を払いのけるだけの力は無かった。
何よりそんな気力も無く、私は弔にされるがままにその身を委ねる。
弔は私を抱き抱えると、そのままモヤのかかったゲートを潜った。
私が初めて、弔の所に行った時にも、このゲートを潜った。
この先が何処に続くのかはすぐに分かった。