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【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】

第5章 【ヒロアカ 】【自作】毒の花※死柄木【R18】


私はすぐに解毒薬のある花を咲かせて、そのまま食した。
薬と私の咲かす花との中和のせめぎ合いだったけど、どうやら効果はあり、薬欲しさに自分の身体を売る様な事はしないで済んでいた。

私の個性を知らないアイツらは、思い通りにならない私に、薬の量を増やしていった。
もう言う事を聞かない私に、商品価値なんかどうでも良く、死んでも構わないといった所だ。
解毒作用の花を食していなかったら、とっくに中毒死している量だろう。

流石に地下に監禁されて、窓も無いコンクリートの壁だけでは、時間の経過も分からず、ただ体力が消耗されていくのを待つしか無かった。
そろそろ体の限界も近い。
腕も上げるのも一苦労になってきた、もういつ男が私を買いに来てもおかしく無い。
きっとその時は抵抗も何も出来ないだろうから。

私はぼーっと壁を見つめていた。
いっそ、解毒花を食さずに、中毒死するのも悪く無い。
思い返しても、大したことの無い人生だった。
ギャンブルと酒に溺れた両親を横目に、ただ息をしていた。
親だからと色々我慢して、結局自分が売られてしまったのだから、笑い話にもならない。

『仁美ちゃん』
弔の私を呼ぶ声が頭の中に響いた。
あんな風に名前を呼ばれたのは、どの位ぶりだろう。
優しく顔を撫でられ、体に触れられたのは、生まれて初めてだった。
アレは本当に弔が見た幻覚だったのか、もしかしたら、他人から大切に扱われたかった私が見せた幻影だったのかもしれない。

私はそんな事を考えながら、ゆっくり目を閉じる。
「諦めるのか?仁美ちゃん。」
頭上から弔の声が聞こえた。
目を開けると、私を見下ろしている弔が居た。
これが幻覚なのか、今の私の頭では判断出来なかった。
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