• テキストサイズ

【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】

第5章 【ヒロアカ 】【自作】毒の花※死柄木【R18】


この個性の花を初めて使った。
弔に見せた幻覚は、弔を通じて自分にも同じ幻覚を見せていた。
まるで本当に触られているかの様に、気持ちは昂り、その手の気持ち良さに目を瞑った。
怖かったから、咄嗟に使ってしまった個性だった。
だけども、弔が見せた幻覚はそんな私の気持ちを変えた。

私に実際触れたのは弔の唇だけだった。
それでもあの時の気持ちもなんと言えばいいのだろう。
体を触られて恐怖を覚える前まで、私は確かに弔を受け入れていた。
あれが【情欲】なのは、経験の無い私でも分かる。
弔のキスを受け入れた感情は、今まで知らなかった感情だった。
そのまま確かに、弔に身を委ねる事を望んでいた。

私はそっと、弔が触れた唇にを指で触れた。

ー使わなければ良かった。
彼を騙した事への罪悪感がただ、募るだけだった。
そしてやはりこの行為は、簡単にしていいものでは無い。
私はもうやめようと誓った。
アイツらの事務所に行く足取りは重かったけど、この先私に触れる手は、弔の様に大切に触れられ無ければもう耐えられない。
私はそう決意して、アイツらの事務所に向かった。

弔に対する懺悔なのか、これ以上アイツらに利用されるだけの自分に対する憎悪なのか、今私の心の中は色々な感情が渦巻いているだろう。
だからこんな状況にも耐えられる。

アイツらが私を服従させる手段として使ったのは薬だった。
もう身売りをしたく無いと言う私に対して、手取り早く身売りをさせる上等手段なのだろう。
商品価値が低くなると、アイツらもやりたくてやった手法では無いだろう。
だけど頑なに、それを拒んだ私は、あっさりその堕ちる王道に無理矢理引きずられた様だ。

私はこの時ほど自分の個性に感謝した事は無かった。



/ 337ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp