【現在HUNTER×2イルミリク執筆中】短編集【R18】
第4章 【ヒロアカ 】【自作】宝贝儿※荼毘【R18】
そんな荼毘の様子を見て、死柄木はゆっくりと話し出した。
「お前のあの女が入った部隊が全滅したと連絡が入った。」
荼毘はその言葉に、少し表情が曇ったが、特段大きく動揺した様子は無かった。
「その女が1人、焼かれた服の下は『無傷』で戻ってきたそうだ。」
死柄木の言葉に、その意味が分かると荼毘は顔を上げた。
「死ぬ間際にお前の名前でも呼んだんだろう。」
その名前を聞いて現れたならアイツらしい。
死柄木は笑って荼毘を見た。
「‥だから今日ここに来たのか。」
荼毘の言葉に死柄木は目を細めて、笑いながら言った。
「ああ、早く『2人きり』にさせろ。」
死柄木がそう言うと、荼毘はベットから腰を上げると、その脇を通って部屋から出ていく。
相変わらず気色悪いと言う、言葉を吐き捨てながら。
死柄木は荼毘の足音が遠くになるのを聞いてから、その部屋の中に入っていく。
まだあいつの匂いがするなんて嘘だった。
ここには2人の思い出しかない。
死柄木は荼毘の触っていたシーツを取り上げると、それを握って口元に持ってくる。
目を瞑れば、いつでもここで2人で過ごした光景が思い出される。
こうしてたまにお互いの存在を身近に感じれば、どうしても恋しくなって、こうしてお互いを思い合う。
それでもやはり、何処かで笑って過ごせているなら、それを愛して思えるのなら、あの時離れた意味は正解であったに違いない。
なのに、目の前にその相手が居ない事実だけは、どうしても悲しくて涙が出る。
死柄木はシーツで涙を拭うと、そのベットに横になる。
いつも自分が右側で、目の前に彼女が居た。
起きていれば死柄木に愛を囁き、キスを繰り返す。
寝ていれば、胸に潜り込んできてこの腕の中で眠る。
死柄木はいつも、彼女がしている事を、ここで寝ないでずっと見ていた。
そして今日もそんな彼女の思い出を見ながら、死柄木は眠らない。