第14章 ※束の間ひととき
もうすぐ日付が変わる時間帯
優しく夜風が吹く猿飛邸で3代目火影、猿飛ヒルゼンは寝巻きに着替え、縁側でお茶を啜っていた
1人の人物を待って...
ふんわり
木の葉が舞う
「ご苦労じゃった...ヨル」
瞬身にてヨルが現れる
「別に苦労はしていない」
ヨルはいつもの様にヒルゼンの隣に腰をかけた
その姿を見たヒルゼンは一度退散し、再度温かいお茶を持ってヨルの所へ行く
「たく...こんなに儂を使うのはヨル...お主ぐらいじゃろう...」
「ありがとう...ヒルゼンのお茶も美味しい」
「"も"じゃと?......他にヨルの舌を唸らせる奴がいるのか?」
「......カカシ」
「奴なら納得じゃな...」
ヨルは小さく口角が上がる
「だが...ヨルの好きな茶菓子は知らんじゃろ?」
そう言い、籠いっぱいに個包装になった和菓子を差し出した。
どら焼き...饅頭...あんころ餅...もなか...等
カカシは甘いものが嫌いだ。
だから無意識に彼の前ではあまりこう言った物は食べない。そのせいか、偶に身体が欲しくなる
「ヨルはこの、こし餡が好きだからな」
ヒルゼンはこし餡饅頭をヨルに差し出す。
ヨルは嬉しく目を見開き、両手で貰う
「ヒルゼンは......この...どら焼きだな...」
ヨルはどら焼きをヒルゼンに差し出し2人仲良く食べる
「昔...こうしてよく2人で火影室で食べたの...」
「そうだな...あの時はまだ私は"監視"の対象だった」
ヨルは昔を振り返る
『ヨル。儂と茶菓子でも食わんか?』
若い頃のヒルゼンと幼い頃のヨル
机を挟み2人は和やかに休憩をしていた
「ヨルよ...やはり木ノ葉は嫌いか...?」
「嫌いだ」
「......」
「上層部も...ダンゾウも、御意見番も、私を道具の様に扱った忍びも歴史も...全てが嫌いだ......」
「......」
「だが...その中にも同じように苦しむ大切な部下が出来、守りたい存在が出来...背中を守らないといけない存在が出来た...」