第5章 陵南戦
そして、ついに赤木と流川が交代となった。
彩「ナイスファイトー!流川!」
コートから戻ってきた流川は、肩で荒く息をしながら汗をぬぐう。
流「はぁ…はぁ…」
その様子を、はまるで彼の努力を見透かすような眼差しで見つめた。
「本気でやったんでしょうね?」
短い言葉に、流川はわずかに眉を動かして応える。
流「はぁ…はぁ…あたりめーだろ」
荒い呼吸の合間に返したその声に、どこか誇らしげな響きが宿っていた。
は思わず小さくフフと笑う。
たったそれだけで、ほんの少し場の空気が柔らかくなる。
その後、彼女は疲労の色を隠さない流川の前で、ふわりと柔らかく笑みを浮かべた。
「うん、お疲れ」
その瞬間――。
流「っ…」
まるで心臓を軽く突かれたように、流川は一瞬言葉を失った。
彼女に向けての“初めての労い”が、自分でも思っていた以上に胸に響いたのだ。
そこは安西先生の言葉がポツリと落ちる。
安「流川くん」
流、彩、「「「??」」」
安「休憩は1分だけですよ」
その言葉に、流川もも、同時に「あっ…」と漏らす。
安「ラスト2分が勝負です。行けますか?」
流「はい」
たった一言だが、力強い返事だった。
呼吸を整えるより、戦いに戻る方がずっと似合う男だ。