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僕だけを見つめて【スラムダンク】

第5章 陵南戦


「上体起こせますか?」

赤「あぁ…」

手際よく赤木の身体を支え、
タオルを当てて出血を押さえ込む。
その動きには一切の迷いがなかった。

田「大丈夫か、赤木くん。おい、誰か医務室へ案内しろ!」

赤「あっ、大丈夫です、田岡先生」

魚「おっ、おい赤木」

赤「気にするな魚住、すぐ戻るさ」

立ち上がろうとする赤木の腕を、がそっと押しとどめた。

「すぐ医務室に…」

赤「大丈…」

「ダメです」

きっぱりと遮った声に、場の空気が揺れる。

流、仙「「…」」

「医務室に行かないとダメです」

赤「このくらいどうってこと…」

「大丈夫だとは思います。バスケのこと勉強する中で、起こりうる怪我を想像して、それの応急処置の仕方は全部学んできたので」

花、流、仙「「「なにっ?」」」」

彩、木「!?」

赤木の目が揺れる。
“マネージャー”の域を越えたその言葉に、
湘北の面々が息を呑んだ。

赤「…そうか。なら…」

は一度だけ静かに息を整え、真っ直ぐ赤木を見据える。

「でももし、万が一何かあったら、最後の土壇場で、ゴリ先輩に何かあったらどうするんです?あとワンゴールで勝てるって時にゴリ先輩がいなかったら?ゴリ先輩の存在が、みんなを奮い立たせるんです。そしてその意味は大きい。大事なとき、絶対ゴリ先輩の存在が必要なんです。だから中盤の今、診てもらっておきましょう」

短い沈黙。
けれど、その言葉は赤木の心に深く届いていた。

木「天羽…」

花、流、仙「「「…」」」

赤木はようやく観念したように息を吐き、
強く頷いた。

赤「…分かった。桜木、代わりはお前だ」

――花道の胸が高鳴った。
それは、の言葉と行動が確かに背中を押したからだった。
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