第6章 リョータ・三井復帰
「それは花道関係ないです」
三「ならなんで俺にあんな風に怒ったんだ?」
「好きなものを好きって言えないのは、諦めなきゃいけないのはすごく辛いし難しいって、分かるから」
三「あ…」
「だからそんなのやめてほしくて、怒りました」
もう一度はシュートを決めた。
三「…なんで分かるんだよ。お前はやってもねーのに運動もできるし、桜木のことも好きって声に出して諦めたりしてねーじゃねーか」
「そうですねぇ…」
はボールを2、3度ドリブルした。
「花道、好きな子がいるんです。ゴリ先輩の妹。晴子ちゃんのことが好きなんです。花道がバスケを始めたのも、晴子ちゃんに言われたから」
はシュートした。
三「それお前は嫌じゃねぇのか?」
「私、本当に花道のこと大好きなんです。だから、花道が笑ってくれるなら、喜ぶなら、もうなんでもいいんです。例えその時隣にいるのが私じゃなくても。自分でも何言ってるのかよく分かんないし、バカだなと思うんですけどね」
はボールを拾うと三井の隣に座った。
三(本当に桜木のことが好きなんだな…)
「私前晴子ちゃんに言ったんです。花道と私はただの同級生で、私は花道のこと好きじゃ無いって。だから花道のこと見てあげて欲しいって」
三「お前…」
「花道の幸せを心から願ってるはずなのに、その時めちゃくちゃ苦しくて…好きなものを好きじゃないって言うのってこんなに苦しいんだって分かったんです。振り向いてくれないってわかってるから、諦めたいのに諦められないし。振り向いてくれないけど諦めないことより、諦めようとする方が私には辛かった」
三「…」
「まあ諦めようとしたことはないんですけどね、へへ」
三「なんだよ…ねぇのかよ…」
「諦めたら試合終了ですから、バスケも恋も」
三「!?…お前…どこでそれを…」
この呟きはには聞こえていなかった。
「でも諦めるのを想像した時、そっちの方が辛かったから。だから三井さんも、苦しいんだろうなって、楽になって欲しいなって、そう思っただけです」