第5章 陵南戦
"仙道さんを抑えられるのはあんたしかいない"
その言葉が、流川の耳の奥で何度も反響する。
コートに立つ前なのに、彼の胸の内で静かに何かが燃え始めていた。
そして、ほんの一瞬だけ。
流川は普段の無表情をわずかに崩し、口元を小さく緩めた。
――効いている。
の言葉は、確かに彼の心に刺さっていた。
後半が始まると、湘北の勢いは止まらない。
たった一言で、チームの空気まで押し上げてしまう――
そんな力が、確かに彼女にはあった。
点差が5点まで縮まった瞬間、陵南がチャージドアウトを取った。
だがその流れの中で、またしても花道が動く。
花道はこそこそと陵南ベンチの会話を聞きに行き、
売り言葉に買い言葉で火がつき、気づけば彦一を投げ飛ばしていた。
彦「桜木さん、越野さんやめなはれ!」
花「どけ!猿!」
彦「わぁ!」
ドスンッ
は呆れたように声を漏らしつつ、どこか心配げに眉を寄せる。
「ありゃあ…可哀想に…あとで行ってやるか…」
さらに花道は田岡にまで「クソジジイ」呼ばわりし、
笑って見ていた仙道にまで噛みつく。
挙げ句の果てに――。
赤木の拳が花道の頭上に落ちた。
花「ぐはっ!」
は慌てて駆け寄る。
「あー!ゴリ先輩!花道可哀想!」
赤「バカタレが!ちっとも可哀想ではないわ!」
「花道大丈夫??」
花道が暴れ出した瞬間、木暮が叫ぶ。
木「今だ取り押さえろ!」
湘北メンバーが一斉に花道を連行していき、
は「あぁ…」と肩を落とした。
赤木は仙道に深く頭を下げる。