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僕だけを見つめて【スラムダンク】

第5章 陵南戦


ハーフタイム。
は息を整えて、全員にタオルとスポーツドリンクを手早く渡して回る。

木暮の前にしゃがみ込み、明るい声を向けた。

「メガネ先輩、前半お疲れ様です!でもシュート上手いんだし、もっと攻めてもいいんじゃないですか?」

木暮は思わず照れたように視線をそらす。

木「……ありがとう」

は勢いよく赤木の前に立つ。

「ゴリ先輩もお疲れ様です!」

赤「誰がゴリだ!」

「ゴリ先輩のシュートで流れ来ましたね!流石です!」

赤「まったく……」

文句を言いながらも、赤木の顔にはわずかに嬉しさが滲む。

次に、安田の前へ。

「ヤスさん、ナイッシュー!大活躍!」

ヤス「あ、ありがとう」

赤い顔で受け取る安田の肩が少し震えていた。

「シオさんのサポートもいいですね!縁の下の力持ちだ」

シオ「う、うん…」

潮田も照れ臭そうに笑みを浮かべる。

が次へ向かおうとしたその時——

流「俺には」

背後から低い声が落ちてきた。

「何が?ドリンクもタオルもあるでしょ?」

流「俺には何も無いのか」

「なーに。みんなに一言言ってるから僕も欲しいの?」

はまるで子供に話すように聞いた。

流「…別に」

ツンとした横顔に、は少しだけ鼻を鳴らし、けれどその瞳は真剣そのものだった。

「ゴリ先輩はボスさんをマークしなきゃいけない。てことは仙道さんを抑えられるのはあんたしかいないんだから。手抜かないでよね」

その言葉だけ残すと、は走り去っていく。

流川は黙ったまま、去っていく背中に視線を投げた。

その瞳には、さっきのダンクの熱とはまた違う、
“静かな火”が宿っていた。
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