第4章 基礎練習
ー練習試合前々日ー
部活が終わり、体育館に夕暮れの光が差し込む。
荷物をまとめながら、は深いため息をついた。
「はぁ…」
彩「どうしたのよ。ここんとこため息なんてばっかりついちゃって」
いつもなら明るく元気なのこんな姿を、
彩子はもちろん赤木も木暮も気にしていた。
「なんでもないんです…全部自分のせいなんで。はぁ…」
テンションの低い声に、彩子はそっと眉を寄せる。
彩「ならいいけど…何かあったらいつでも相談しなさいよ。本当に今は大丈夫なのね?」
「彩子しゃん…優しい…はい…」
彩「何言ってんの。じゃあ私先帰るわよ」
「お疲れ様でした」
彩子が去り、他の部員たちもそれぞれ部室を後にする。
静寂が戻り、体育館にはだけが残った。
片付けに向かおうとしたその時――。
流「おい」
不意にかけられた声に、は振り返りもせず答えた。
「なによ…今構う元気ないのよ…」
流「来い」
「来いって…まだ後片付け終わってないんだけど」
流川は容赦なく腕を掴んで引っ張ろうとする。
だが、は踏ん張って動かなかった。
流「今日はやらなくていい」
「え?ゴリ先輩がそう言ってたの?」
流「違う」
「じゃあダメじゃない。勝手にそんなことしちゃ」
流「今日はあのどあほうが残って…」
そのタイミングで、階段の方から大きな声が響いた。
花「おい!」
「は、花道!なーに!」
流川の手を振り払ったの顔が見る間にパッと明るくなる。
その変化に、流川は僅かに目を細めた。
花「これから練習に付き合え!」
「え!もちろん!!何時までやる?花道が飽きるまでやろ!」
花「今日は帰れないと思えよ!」
「はい!」
嬉しさがあふれ、声にも表情にも隠せない。
それはまるで、ずっと曇っていた空に急に太陽が差し込んだようだった。