第4章 基礎練習
side
(なんで私が流川の手当を……本当は花道の方やりたかったのに……晴子ちゃんも流川の方を本当はやりたいはずだったのに……ごめんね晴子ちゃん……)
申し訳なさと苛立ちがごちゃ混ぜになりながら、
流川の顔を見るたびに別の“推測”が浮かんでくる。
(……執拗に1on1を迫ってきたり、手当を要求してきたり……もしかして……こいつ、寂しいのでは!?友達が……ほんとに一人もいないとか!?)
完全にズレた同情が、の中で爆発していた。
(絶対にそうだ……こいつに友達なんているわけがない…せいぜいバスケットボールが友達とか言ってたんだろうな…可哀想…!!)
流川side
流(……ムカつく)
苛立ちが表情に出ないだけで、
胸の奥ではビリビリとした熱が渦巻いていた。
流(コイツといると妙に気分が上がることもあるが……ムカつくことの方が多い。特にあのどあほうのために必死になってる姿が――……ムカつく)
視線の端で花道を見るたびに、胸がざわめく。
流(俺がしてもらおうとしたのに、あいつにはすぐ手当てをつけて、俺には“自分でやれ”、だと?)
流(……ムカつく)
そして最後に、胸の底で静かに呟いた。
流(俺がムカつくと思うのは――負けた時、寝てる時に邪魔された時、……そして、あのどあほうとコイツだけだ)
その正体に、本人すらまだ気づいていない。
誰もが自分の感情の正体を掴みきれず、
誰もが誰かを気にしながら、
誰もがすれ違っている。
けれどその“交錯”こそが――
彼らの距離を確実に縮めていくのだった。