第4章 基礎練習
安西先生の穏やかな声が体育館に響いた。
安「いいでしょう」
その瞬間、花道の全身がビクンと跳ね上がった。
胸の奥で爆発が起きたかのように顔がパァッと輝く。
花「よっしゃー!俺もとうとうスラムダンクがやれる!晴子さん!ついに俺の見せ場がやってきました!もう晴子さんの目線に流川なんか入れさせないぞ!」
はその豪快すぎる歓喜の叫びを見つめ、微妙に言葉を発せずに目をしばたかせた。
「…」
晴子はそんな花道の熱量を正面から受け止めるように、柔らかい笑顔で手を振る。
晴「ははっ」
花道は嬉しさのあまり勢いよく腕を振り返す。
花「晴子さーん!」
すると直後、誰かが投げたボールが花道の頭にクリーンヒット。
鈍い音が体育館に響き渡った。
だが花道は、痛みより嬉しさが勝っているのか、即座にそのボールを投げ返すと、何事もなかったように晴子へ満面の笑みを向け続けている。
その様子を少し離れたところから眺めていた流川親衛隊が、ヒソヒソと毒を吐き始めた。
流川親衛隊1「どうしてああ単純なのかしら」
流川親衛隊2「能天気なのよ。あの赤い髪見りゃ分かるじゃん」
流川親衛隊3「変よねー!」
流川親衛隊1、2「「ねー!」」
そのやや悪質な囁き声が耳に入ったが、ピクリと反応する。
「ん?」
軽く眉を下げて聞き耳を立てると、さらに追い打ちのような言葉が飛んでくる。
流川親衛隊1「それでいつも流川くんに張り合おうとしてんのよね!」
流川親衛隊2「かなうわけないのに!バッカみたい!」
流川親衛隊3「さっさと辞めちゃえばいいのに」
流川親衛隊1、2「「ねー!」」
はカチンときた。
こめかみに青筋が浮かび、足音をバンッと鳴らして彼女たちへずかずかと近づく。
「ぐぬぬ…」
だがそのまま怒鳴り散らすのではなく、晴子とその友人二人の手首をがしっと掴むと、そのまま体育館の中へ強制連行した。
晴「ちゃん…」
流川親衛隊は唖然としたまま固まる。
流川親衛隊1「な、なによ…」
すると――。
「フンッ!」
音が割れんばかりの勢いで扉をバシン!と閉めて遮断した。
外では「開けろ!」「何するんだ!」と親衛隊が騒いでいる。