第4章 基礎練習
「ねぇー、本当にもう1回やるの?私疲れたんだけど。てかお昼食べたいんですけど…」
流川は視線を向けることなく、当然のように言った。
流「俺に勝ったら食っていい」
「なんだとこの鬼!」
軽口を叩く。
しかし流川の次の言葉で、表情が盛大に固まる。
流「俺の分は」
「は…?なんの話?」
流「俺の分の飲み物は?」
「はー!?あるわけないでしょ!自分で買いなさいよ!」
流「マネージャーだろ?」
「今は昼休み!部活じゃないの!」
そこで流川が無慈悲に手を伸ばす。
流「…ならこれもらう」
ひょい、との手から飲みかけのジュースを奪い取ると、
そのまま一気に飲み干した。
「あーー!!!私のジュース!!流川めぇ…」
怒り心頭の。
だが、それが間接キスだと気付く気配はまるでない。
流「悔しいなら勝て」
「絶対勝つ…!!」
瞳にメラメラと炎が燃え上がる。
その直後、は窓を指差し——。
「あ」
反射神経だけで生きている男、流川が反応する。
流「…」
完全に引っかかった流川を尻目に、は古典的すぎる技で点を奪い、勝利した。
「ニヒヒ」
流「飲みもんは返さねーぞ。自分で買え」
「なんでよ!?私が勝ったでしょ!?」
流「ズルだろ」
「引っかかったあんたが悪い!」
体育館の真ん中で、子どものように言い合う二人。
その光景が昼休みの定番となり、
体育館には毎日、2人の声とバッシュの音が響き続けた。