第4章 基礎練習
それからというもの、流川とは毎日のように昼休みの体育館で1on1をするようになった。
静まり返った昼の体育館に、二人の息づかいだけが響く。
「はぁ…はぁ…」
流川は汗を払いながら無表情のまま、しかし確信めいた声で言い放つ。
流「また俺の勝ちだ」
息を切らすは、額の汗を乱暴に拭いながら反論した。
「当たり前でしょ!性別も違けりゃ経験も身長も違うのよ!?一体何が楽しくてこんなことやってんだか…」
流「もう一回だ」
飄々としたその一言に、は思わず跳ねるように噛みついた。
「は!連続なんて無理!休憩!」
そう言ってプリプリ怒りながら、体育館の外にある自販機へ向かっていく。
その背中には"疲れた"とが大きく貼り付いていた。
だが——。
“もうやらない!”と言わなくなった。
以前のなら必ず突っぱねていたはずの言葉を、
今では言わなくなっていた。
流川は、ふっと視線を落として先ほどのの言葉を回想する。
"一体何が楽しくてこんなことやってんだか…"
流(楽しいに決まってる。お前は何にも興味を持たなかった俺が、唯一心動かされた人に教えてもらってたヤツだぞ。そんなヤツと俺は勝負してるんだ…楽しくないわけがない。強いやつと勝負するのと同じくらい…いや、それ以上に——楽しい)
静かに燃える瞳の奥で、そんな想いがゆらいでいた。
その思考を破るように、がジュース片手に戻ってくる。