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僕だけを見つめて【スラムダンク】

第4章 基礎練習


流川は再びの手を掴んだ。
その動作は迷いがなく、周囲の視線すら気にしていない。

流「行くぞ」

「はぁ!? 行くってどこに…」

流「体育館に決まってんだろ。昼ならいいんだろ。行くぞ」

流川は当然のように言い放ち、ぐっと手を引く。

「え、なに、今日から!?」

流「当たり前だ」

その強引さは、もはや押し問答の余地がなかった。
流川はズンズンと前へ歩き、を引っ張っていく。
廊下を歩く二人の距離が、周囲のざわめきを巻き起こした。

は半ば引きずられながら、必死に抵抗する。

「ご、ご飯だけ食べさせてくれーーっ!!」

悲鳴のような叫びが廊下に響き、周りの生徒たちが思わず振り返る。

洋「あぁ…」

少し遅れて歩く水戸は、ため息をつきながら二人の背中を見送った。

水(流川のやつ…何があったか知らないが、相当を気に入ったみたいだな…ライバルが出来ちまったか…)

水戸はが好きだった。
花道一筋に笑うを見れば見るほど、胸の奥にどうしようもない感情が湧く。

花道に幸せになってほしい。
でも、自分が守りたい。
そんな矛盾に似た思いが、ずっと心の中で渦巻いていた。

水(しかし “どうせ置いてかれるくせに” ってどういうことだ?花道に…直接聞いてみるか)

そして水戸は昨日の出来事を花道に聞き、
“見当違いの解釈で一人泣いてる花道”を知って——
心底、が不憫に思えた。

水(あいつ……本当に、気づかねぇんだな……もし花道じゃないなら……俺が……)

小さく拳を握る水戸の胸は、重く熱かった。

***

そしてもう一人。
流川に腕を引かれるを、遠くから見つめている少女がいた。

晴「流川くん…」

晴子は息を呑む。
流川の表情は、今まで一度も見たことのない“怒りでも無関心でもない”色をしていた。

晴(ちゃんのこと引っ張って…流川くんのあんな顔、初めて見た…そうだよね…ちゃん、すごく可愛いもん…運動神経もいいみたいだし…)

胸がぎゅっと締め付けられる。
自分でもよく分からない感情が波のように押し寄せる。

ほんの少しだけ、晴子の視線が揺れた。
そこには、初めて見る戸惑いと痛みが混じっていた。
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