第4章 基礎練習
その後、二人は部室へ向かって歩く。
廊下はすでに消灯され、月明かりだけが窓から差し込む。
流「これからは毎日部活後俺と1on1しろ」
突然の指令。
「はぁ?やだ」
流「なに」
「花道と帰るんだから無理。あんたより花道に決まってんでしょ」
即答。
流川の眉が、わずかに低く跳ねた。
流「今日はもういねーぞ」
「そんなことない!だって毎日一緒に帰ってるんだよ?今日だってきっと待っててくれ…」
ガチャッ
扉を開けると、部室はひっそりと静まり返り、
人の気配は一切なかった。
「ガーン!」
流「ほらな」
「ジョッグーー!もうだぢなおれないー!るがわのバガー!あんだが1on1じろなんで言うがらぁ!」
泣きながら叫ぶ姿は、どこまでも必死で、どこまでも不器用だった。
流「俺かよ…」
呆れきった声の裏で、流川はほんの少しだけ視線をそらした。
この夜、は肩を落とし、しょんぼりと家へ帰っていった。
***
その頃、花道はというと——。
部活後。
花「今日はちょっと手が滑っちまったけど、次は絶対に決める!」
木「惜しかったな、桜木」
赤「甘やかすな!ったく」
いつもの騒がしい掛け合いをしながら部室へ向かい、
着替えを終えた花道だったが……
いつものように、は飛んでこなかった。
木「天羽、来ないな。今日は一緒に帰らないのか?」
花「別に一緒に帰る約束してるわけじゃーねーからよ」
木「そうなのか」
花「じゃ、俺は先に帰るぜ」
花道は気にした様子もなく歩き出す。
その背中を見送りながら、木暮がぽつりと漏らした。
木「桜木のやつ…天羽の気持ちに本当に何も気づいてないのか…?」
赤「あのバカが気づくわけない。俺としては気づいてさっさと天羽の所へ行ってほしいんだがな」
木「天羽もとんでもないやつを好きになっちゃったな…」
静かなため息が、部室に落ちた。