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僕だけを見つめて【スラムダンク】

第4章 基礎練習


憧れの人の娘と対峙できる——
その事実に、流川は胸の奥の熱を隠しきれなかった。
"天羽ヒロシ"という伝説的な名前が脳裏を過ぎるたび、血が沸騰するような感覚が走る。

静まり返った夜の体育館。
照明は半分だけ、床に長く影が伸びる。

流川とが向かい合った瞬間、
空気が“戦いの温度”へ変わる。

二人の呼吸だけが、広い空間に均等なリズムを刻む。

――そして、1on1が始まった。

キュッ、キュキュッ、シュッ、シュポッ――!

バッシュの摩擦音が床に鋭く響く。
ボールが弾むたび、床が震え、照明がわずかに揺れる。

流川の得意とするスピードは、夜の体育館ではより異常な存在感を放つ。
しかしも後れを取らなかった。
重心の切り替えの速さ、足の運び、間合いの読み。
それらは"素人"の域を完全に超えていた。

流川の表情に、知らず知らず“楽しさ”が滲む。

(——やっぱり、こいつ…)

も必死に食らいつく。
何度も抜かれても、何度も立て直し、
何度も仕掛ける。

その攻防は、まるでプロ同士のように白熱していた。

そして――最後の一瞬。

ダンッ!!!

流川がリングへ飛び込み、豪快にダンクを叩き込んだ。
その振動がゴゴッと鉄の骨組みに伝わり、体育館全体が揺れる。

勝負は決まった。

男と女、経験の差は明らかだった。
だが——それでも「いい勝負」。
流川は心底そう思っていた。

流「はぁ…はぁ…」

額から汗が落ちる。
呼吸は荒いが、その目だけは鋭く輝いていた。

「うわぁーん!ダンクなんて無理に決まってるでしょー!ずるいよー!」

流「…抜かれたお前が悪い」

「びえーん!」

体育館に素直すぎる泣き声が響いた。

流「…はぁ」

呆れたようにため息をついたが、
その声に宿る温度はほんの少しだけ柔らかかった。
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