第4章 基礎練習
「う、うん!あと、でいいし、敬語じゃなくていいよ。同じ一年生なんだしさ」
晴「じゃあ、ちゃんで…ちゃんは話しやすい子なのね。想像と違ったわ」
意外そうに笑う晴子に、が首を傾げる。
「そう?」
晴「うん。すごく可愛いし、自分もしっかりあるから、話しづらいかなと思ってたんだけど、全然そんなことなかった!気さくで面白くて話しやすい!」
「えへ、えへへ、そーかなー、えへへ」
頬を緩ませ、鼻の下を伸ばしながら照れ笑い。
その素直な反応に、晴子も明るく笑う。
晴「うん!」
「晴子ちゃんも話しやすい!これからよろしくね」
2人は自然と手を伸ばし、握手を交わした。
温かくて、柔らかな握手。
(女の私からみても可愛い子だ…)
ほんの少しだけ胸が痛む。
けれど、同時に晴子への好感も確かに生まれていた。
そんな中――。
体育館の歓声が一気に沸き起こる。
花道が赤木の頭にダンクを叩き込み、試合が終了したのだ。
晴「お兄ちゃん…!」
「あぁ…こりゃ試合で使えるのはまだまだ先だ…」
呆れたように、けれどどこか誇らしげに、は呟いた。
――この日、2人の少女の距離は少しだけ近づき、
そして花道をめぐる想いも、静かに動き始めていた。