第4章 基礎練習
「まさか出来ないから言ってんじゃあないわよねぇ?花道なんでもやれば出来るもんねぇ??」
挑発というより、“信じているからこそ”の言葉。
途端に花道の眉がピクリと跳ねる。
花「る、流川とおんなじことなんて出来るに決まってらぁ!!」
その反応に、は満足そうにニィッと笑った。
「そう来なくっちゃ!さすが親分!」
晴(流川くんを敵視してた桜木くんがどんどんやる気を出してる…さんは桜木くんの扱いが上手いのね…)
だがその直後、晴子の頬がほんのり赤く染まる。
視線の先には、流川の華麗なスピードとジャンプ。
その“恋する横顔”を見て、花道の気持ちに火がついた。
花「うおおお!やっぱ俺も出るー!!晴子さんに俺の勇姿をー!!」
(こりゃもう何言っても聞かんな…)
暴れ馬のような花道を見かねた彩子と木暮が赤木へ駆け寄り、なんとか説得して、花道は試合に出してもらえることになった。
他の1年生を半ば強制的に交代させるという形で。
「ごめんね…許してやって…」
一年生の肩をそっと抱いて頭を下げた。
一年生「あ、い、いえ!!」
最初は落ち込んでいた彼も、学年でもトップクラスに可愛いに肩を組まれた途端、真っ赤になって気力が全回復していた。
そして試合が再開される。
同じチームにも関わらず、流川と桜木は火花を散らしながらコートを走り回る。
そんな激しい空気の外で——。
はふと横に立つ晴子を見つめ、声をかけた。
「晴子ちゃん」
晴「は、はい」
「流川が好き?」
晴「え、は、はい…中学の頃、流川くんのプレーを見てからずっと好きなんです…」
「そっかぁ…流川、確かに顔はいいし、バスケは上手いし、カッコいいよね」
晴「え…で、でもさっき大嫌いって…」
「うん!嫌い!性格が悪すぎる!!」
晴「えぇ…」
「でも晴子ちゃんの気持ち分かる。一回好きになったらその人のこと目で追っちゃうよね」
晴「はい…そうなんです…」
「気持ち、すごく分かるんだけどさ…」
言葉の続きは、まだ胸の奥にしまったまま。
2人の視線の先では、花道が不器用に、でも全力で走っていた。