第4章 基礎練習
彩「晴子ちゃん!晴子ちゃん!ちょうどいいところに来たわ!」
花「や、やぁ!」
「試合するのよ!1年生対上級生で!」
晴「あなたは…」
花「あ、こ、こいつは俺の幼馴…」
言いかけた花道より早く、が一歩前へ出る。
「同級生の天羽よ。マネージャーになったの!よろしくね!晴子ちゃん!」
“幼馴染”とは言わなかった。
——花道の恋を邪魔したくなかったから。
晴「桜木くんの同級生なのね!よろしくね!ところで、し…試合?1年生対上級生で?わぁ!桜木くんも出るの??」
晴子の目が希望の光で輝く。
彩「桜木花道はまだ基礎練習よ、晴子ちゃん」
晴「あぁ、そっか。桜木くんはまだバスケ始めたばかりだもんね。仕方ないよね」
花「ハ…ハ…ハハハ…」
言葉に詰まりながらも、花道の頬はどこか緩んでいる。
「でも、花道すごく上手くなってるもんね!今日はまだ”一応”見学なだけだよね!」
花「そ、そうだ!その通りです!晴子さん!」
晴「そうなのね。でも桜木くん、焦らないでね。地道な努力はいつか報われるってお兄ちゃんが言ってたわ。私もそう思う」
彩「そうよ」
花「は、晴子さん…」
晴「フフフ」
花(優しいなぁ…あぁ…)
晴子の言葉に胸を打たれ、花道の目がじわりと潤む。
試合前の体育館に、風がそっと温度を変えるような静かな優しさが満ちていった。