第4章 基礎練習
それから流川とは昼休みに2人で1on1をするようになった。
「はぁ…はぁ…」
流「また俺の勝ちだ」
「当たり前でしょ!性別も違けりゃ経験も身長も違うのよ!?一体何が楽しくてこんなことやってんだか…」
流「もう一回だ」
「は!連続なんて無理!休憩!」
はプリプリしながら外にある自販機に歩いて行った。
が前と違うこと。それは"やらない"と言わなくなったことだった。
流「…」
流川はが言った言葉を思い返していた。
"一体何が楽しくてこんなことやってんだか…"
流(楽しいに決まってる。お前は何にも興味を持たなかった俺が、唯一心動かされた人に教えてもらってたヤツだぞ。そんなヤツと俺は勝負してるんだ…楽しくないわけがない。強いやつと勝負するのと同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に、楽しい)
流川はそんなことを思っていた。
「ねぇー、本当にもう1回やるの?私疲れたんだけど。てかお昼食べたいんですけど…」
は飲みかけのジュースを片手に戻ってきた。
流「俺に勝ったら食っていい」
「なんだとこの鬼!」
流「俺の分は」
「は…?なんの話?」
流「俺の分の飲み物は?」
「はー!?あるわけないでしょ!自分で買いなさいよ!」
流「マネージャーだろ?」
「今は昼休み!部活じゃないの!」
流「…ならこれもらう」
流川はから飲みかけのジュースを奪い取り、飲み干した。
「あーー!!!私のジュース!!流川めぇ…」
それが間接キスだということに、は気づきもしなかった。
流「悔しいなら勝て」
「絶対勝つ…!!」
の目には炎が宿った。
そしてもう一度勝負したが、が窓の方を指差し、あ、と言うとまんまと流川は引っかかり、古典的なズルでが勝利した。
流「…」
「ニヒヒ」
流「飲みもんは返さねーぞ。自分で買え」
「なんでよ!?私が勝ったでしょ!?」
流「ズルだろ」
「引っかかったあんたが悪い!」
こんなやり取りがしばらく続いたのだった。