第4章 基礎練習
彩(…)
花「パスをやるぞパス!ボールを貸せぇ!ファイトー!」
花道は意気揚々と、近くにいた部員の手からボールを奪い取った。
赤「…パス練習はお前が付き合ってやれ。天羽」
「え!!いいんですか!?」
赤「ルールもコツも全て掴んだんだろ。それにどこで身につけたのかは分からないが、前に見せてもらった試合で、基礎はできていた。桜木に教えてやれ」
「えー!ありがとうございます!ゴリ先輩!優しい!」
赤木は褒められたのか煽られたのか分からない顔で、ほんの一瞬だけ照れたが――
「でもほんとたまにですね」と余計なひと言が上書きされ、秒でいつもの厳つい表情に戻った。
その後、花道との練習はしばらく続いた。
***
ある日の放課後。
流川親衛隊「「「流川くん!頑張ってー!」」」
黄色い声援が体育館に響くと、部員たち全員がいっせいに振り向く。
もちろん流川もだ。
流川親衛隊「「「きゃー!こっち向いた!」」」
彩「流川モテモテじゃんかよ、無愛想なくせによ、ヒューヒュー、ふふふっ」
彩子は肘で流川をつつき、楽しそうに笑う。
その近くで、はむすっと眉を寄せた。
「流川のどこがいいのよ、花道の方が圧倒的でしょ!?」
ボソッと毒を吐きながら、ちらりと流川を睨む。
気配を察した花道も、同じようにぎょろっと流川を見上げた。
流「んだよ…」
花「ううぅ…」
次の瞬間、花道はズンズンと親衛隊の方へ向かっていく。
後ろでは、だけがまだ流川にロックオン中だった。