第4章 基礎練習
流「あんだろ」
「は…?」
流「あんだろ、勝てるとこ」
すると流川はにボールをパスして来た。
「…」
はパスを受け取り、ボールに目を落とした。
流「俺はあの女子のプレーは覚えてない。俺は上手いやつのプレーしか覚えてない。そしてお前のプレーは覚えてる」
「あ…」
流「お前があのどあほうをバスケが出来るようにしてやれば、少しは可能性あるんじゃねーの」
「なにそれ…流川のくせに…慰めてるつもり?」
は溜まっていた涙を拭いて少し笑った。
流「別に。俺もお前のこと好きじゃないし。」
流川は顔の前で好きじゃないと手を振った。
「やっぱあんた本当ムカつくわね」
そんなことを言うものの、口調は落ち込む前のふざけた口調に戻っていた。
流「俺と勝負しろ」
「はぁ…だからなんでよ」
流「悪口言われてムカついたから」
「あんたそんなこと言われても傷つくようなタイプじゃないでしょ…鬼のメンタルのくせに…」
流「ムカッ」
「なんで勝負したいの。本当の理由言ったらしてあげる」
流「お前素人なんかじゃないだろ。プレースタイルを見てればわかる。けどあれほどのことが出来るなら、小、中で名前は聞いてるはずだ。それなのに名前も聞いたことなけりゃ、姿も見たことがなかった。なんでだ」
「本当に経験はないよ。クラブやチーム、部活ではね。ただお父さんから少し教わってただけ。遊びの延長でバスケやってたの」
流「お前の名前は確か天羽…はっ…まさか…!!」
「私のお父さんは天羽ヒロシ。稀に知ってる人がいるね、あんたみたいに」
流「!?」
流川は驚いた。
の父、天羽ヒロシは自分がバスケを始めたきっかけの人であり、憧れの人であったから。
流(そりゃあんなに出来るはずだ…あんな人に昔から教わってたなんて…)
「ま、今はもう教わってないけどさ」
流「確か飛行機事故で…」
「うん」
は普通に答えたつもりだったが、少し悲しそうに流川には聞こえた。
流「なおさら勝負しろ。俺と1on1だ」
「はぁ…もう仕方がないなぁ。本気で行くから」