第4章 基礎練習
その日の練習が終わり、皆着替えて帰って行った。
しかし流川は着替えにも行かず、体育館に1人で残っていた。
掃除は彩子と日替わりで行うようになったので、体育館にはと流川の2人きりになった。
「…」
流「…」
流川はをじっと見つめていた。(は睨まれているように感じているが)
「なによ。あんた残ってたら片付けらんないでしょ。さっさと着替えて帰んなさいよ」
流「俺と勝負しろ」
「はぁ!?あんた何言ってんの!?私素人よ!?」
流「お前さっき散々人の悪口言ってたろ。性格悪いだの、開口一番どあほうだの、大嫌いだの。大嫌いは俺もだから別になんとも思ってねーけどよ」
「聞いてたの!?それの腹いせってわけ!?試合に集中しなさいよ!性格悪いのも、開口一番どあほうも間違ってないでしょーが!」
流「どあほうにどあほうと言って何が悪い」
「またそんなことを…ムキー!」
流「どあほうじゃねーか。自分の敵に軍配が上がるように仕向けるところとかよ。それでいてしょんぼりしてんだから」
花道が晴子の元へ走って行った時、が浮かべた一瞬の顔を見逃さなかったのは流川だったのだ。
「なっ…」
流「ほら、どあほうじゃねーか」
「…分かってるよ」
流「…」
「分かってるよ!私が1番!どあほうなことしてるって、自分が1番分かってるよ!」
は先ほどのようにふざけた調子で怒るのではなく、本気で声を荒らげた。
「分かんないよ…流川にこの気持ちは…」
流「フンッ。分かりたくもねーな。相手に有利なように仕向ける気持ちなんて」
「もちろん、私に振り向いて欲しいよ…でも好きだから…大好きだから…笑顔でいてほしいの…幸せになってほしいの…例え、その時花道の隣にいるのが私じゃなくても…」
は目に涙を溜めた。
流「…」
「それに晴子ちゃん、すごく可愛いんだもん…女の私から見ても可愛いと思うし、おしとやかで優しくて、私とはタイプがまるで違う。勝てないよ…勝てるとこ何一つないんだもん…」
は肩を落とした。
流「あんだろ」
「は…?」