• テキストサイズ

僕だけを見つめて【スラムダンク】

第4章 基礎練習


"だから私は追いかけなかった"

その一言が落ちた瞬間、体育館の空気がビクリと震えた。
赤木も木暮も彩子も、練習に励んでいた部員たちでさえ、動きを止めてを見つめる。

彼女の声には迷いがない。
そのまっすぐさに、誰もが一瞬飲まれた。

「私は花道のことが大好きです!だから戻ってこない、置いてかれると思ったらすぐ追いかけます!引き止めます!でも花道は絶対戻ってくるって分かってるから、追いかけなかったんです!」

その言葉は、ただの恋心ではなく、
“桜木花道という人間への深い信頼”そのものだった。

彩「すごいわ…」

安「言い切った…」

圧倒的な熱量と、揺るぎない信頼。
部員たちは息を呑み、の想いに心を打たれていた。

木「なぁ、赤木。天羽もこう言ってることだし、桜木のことは信じて待とう」

赤木は腕を組んだまま、むすっとした顔で視線をそらす。

赤「んん…」

木「な?」

赤「…そういうお前はどこまでバスケのことが分かったんだ。3日で分かるようにすると啖呵を切ってから1週間経ったが、ルールくらいは覚えたのか」

問い詰めるような低い声。
しかしは怯むどころか、一歩前へ出た。

「3日って啖呵切ったのはすみません。でもルールは全部覚えました。神奈川だけでなく全国の強豪校の名前も。神奈川の強豪校に関しては今のメンバーも調べて特徴も覚えました。プレースタイル、ポジション把握してます」

赤木の目が見開かれる。

赤「なにっ?」

木「たった1週間でそこまで!?すごいな!」

は胸を張り、にんまりと笑う。

「でしょ!?メガネ先輩〜もっと褒めて!」

木「ほめほめほめほめ…」

その様子に赤木はこめかみをひくつかせながらも、
完全に否定しきれない表情を浮かべていた。

赤「ならばお前が審判をしてみろ。俺と彩子から見て完璧な審判ができたなら認めてやる」

「やってやろーじゃないですか!」

その瞬間、体育館の空気が再び熱を帯びる。

赤木の号令で、部員たちは二つのチームに分かれ、コートへと散っていく。
は審判台へと歩み出る。
その背中は、迷いのない挑戦者のそれだった。
/ 191ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp