第4章 基礎練習
そんなこんなで花道とが入部してから、一週間が過ぎた。
この日も体育館には、いつものようにバスケ部の怒号とボールの音が響いている。
しかし──。
花「あー!ったく!いつまでもこんなことやってられっかよ!」
花道の苛立った声が体育館に跳ねた。
彩「基本が大事なのよ!?」
赤「こんなこともできなくて試合なんてできるわけ無いだろ!ばかもんが!」
痛烈な指導が飛ぶ中、はすぐさま花道のそばへ駆け寄り、明るい声で支えるように笑った。
「でもそれずっとやってるおかげで花道どんどん上手になってるよ!すごい!」
しかし、花道はその言葉を押し返すように叫ぶ。
花「俺はこんなことをしに来たんじゃねぇ!」
花道はそのまま練習を投げ出して帰ってしまった。
流「どあほう…」
冷ややかな呟きが落ちる。
赤「ったく…ほら言ったろ。あいつには無理なんだ。根性なしが。練習を再開するぞ!」
赤木が練習再開を告げた、その瞬間だった。
「ゴ、ゴリ先輩!」
鋭い声が響く。
振り返る赤木の視線を、は真っすぐ受け止めていた。
赤「なんだ」
「花道は根性なしなんかじゃありません!」
木「天羽…」
彩「…」
赤「お前もさっき見てただろ。あいつは投げ出したんだ」
「花道、基礎とかそう言う地味なの嫌いだから…」
木「天羽、気持ちは分かるが基礎がなってないと…」
「知ってます!基礎がなってないと他校との練習試合はおろか、この高校内での練習でさえ、何もできない。でもそれは花道だって分かってます!花道は絶対戻ってきます!」
怒鳴るでも泣くでもなく、ただ必死に、花道を信じる声。
赤「あいつは目立ちたがり屋の口だけの男だ!どうせそのまま帰ってこん!」
の瞳が、まっすぐに赤木を射抜く。
「花道は口だけなんかじゃない!戻って来ます!だから私は追いかけなかったんです!」
体育館の空気が揺れる。
その静けさは、彼女の“信じる力”が生み出したものだった。