第4章 基礎練習
***
花「うぅ…朝に食ったもんでも当たったのか…?トイレから出れねぇ…」
本当に腹を壊して動けなくなっていた。
そんな事情も知らず、水戸はのクラスへ向かっていた。
「図書室に行ったらしいよ」
友達からそう聞いた洋平は、そのまま迷わず図書室へ足を向ける。
洋(花道のとこにも来ねーで図書館?テスト勉強か?なんだかんだあいつ頭いいからな。いやそれにしてもテストはまだ先だぜ? 一体何を…)
洋「あ…」
視界に飛び込んできたのは、信じられない集中力で本を読み漁るだった。
積み重なる本——
その全てが「バスケ」に関するもの。
ページをめくる手は速く、目は真剣そのもの。
洋(花道もも集中するとすごいよな。似たもん同士だ。それにしてもバスケの本ばかり…本当に全部が花道のためなんだな。
花道…ちょっと羨ましいよ…お前が)
胸の内でそっと漏れた本音に、水戸自身が小さく息を呑む。
***
その頃、花道がトイレから戻ると、洋平の姿はすでになく——
高「花道ー!なんだよ!腹でも壊したのか!」
花「…うるせー」
雄「ダハハ!こりゃ図星だ!」
忠「そういや洋平も遅くねーか?」
高「確かに…花道、トイレに洋平行かなかったか?」
花「え、知らねーけど…」
雄「どうせ花道が入ってる間に洋平も入ったんだろ。んで多分花道の腹痛がうつったんだ!」
高「てことは洋平も…」
ギャハハ!!
水戸の“本当の行動”を知る者は、誰ひとりいなかった。
ただ、鈍感な4人の笑い声だけが教室に響いていた。