第4章 基礎練習
翌日が土曜だったこともあり、は午前中に借りた本をすべて読み切り、午後は練習へ。そのまま花道と帰宅し、さらに勢いそのままに市営図書館で追加のバスケ本を借りた。
そして日曜――。
は“花道担当になるための3日計画”を完遂すべく、インターハイの記録映像を探しに、ひとりレンタルビデオ屋を訪れた。
「バスケのコーナー…どこだ??」
店内をきょろきょろ見回すが、広い店内ではなかなか見つからない。仕方なく店員に尋ねると、すぐに案内してくれた。
店「こちらになります」
「ありがとうございます!」
ところが、案内された棚の前には――
見るからに“不良”という雰囲気を纏った、ロン毛で長身の男が仁王立ちしていた。
そのせいでコーナーの3分の1がまったく見えない。
はまったく臆する様子もなく、すっと声をかける。
「ちょ、すみません」
?「あぁ?」
低い声。明らかに“絡む気あり”の反応だが、は気にした様子もない。
「私にも見せてください!」
?「んだよ…」
まともに相手する気もなさそうな不良の前で、は棚を覗き込みながら、ぶつぶつ独り言をこぼす。