第4章 基礎練習
翌日の昼休み。
は花道のクラスへ向かうのをきっぱりやめ、弁当を高速でたいらげると、椅子を引く音すら残さず立ち上がった。
ビュンッ!!
休み時間の廊下を、風のような速さで駆け抜ける。
先「こ、こら!廊下は走るなと何度も…あ、あれ?誰が走って行ったんだ…?」
先生が振り返った時には、の姿はもう消えていた。
そのまま図書室へ滑り込むように到着し、真っ直ぐバスケ関連のコーナーへ向かう。
「バスケバスケっと…ここか」
並んだ資料を見た瞬間、眉をひそめる。
「あちゃー…結構あるなぁ…こうなったらあれしかない!!」
ずらりと並ぶ本を、ためらいなく全て抱え上げ、机の上へ積み上げる。
そして息を軽く吸い──
「速読!!!」
ページをめくる音が連続で鳴り響き、指の動きはもはや人間離れした速さ。
図書室の空気が一瞬で“勉強会”から“修行場”へ変わった。
キーンコーンカーンコーン
気づけば、昼休みが終わる5分前。
「時間経つの速すぎる!ま、いいや残りは家で読もう!」
すでに5冊を読み終え、残りもすべて抱えて貸出カウンターへ向かう。
その量を見た司書の先生は、目を丸くした。
司書「こ、こんなに読み切れるの…?」
という問いに、は「読めます!」とにこっと笑うだけ。
その背中は、体育館で決意した“花道担当になるための3日計画”に向けて、迷いなく進んでいた。