第3章 バスケ部入部
花道はコート端に呼び出され、彩子にドリブル練習を命じられていた。
花「なんで俺だけ…ぐぬぬ…」
彩「初心者なんだから当たり前でしょ」
その会話を聞きつけたが、ぱっと駆け寄る。
「花道!練習付き合ってあげる!」
しかし、その申し出を赤木がギロッとにらみつけて却下した。
赤「お前も初心者なんだから桜木に付き合ってる暇はない。見ておけ」
「え!?私花道担当がいいです!」
赤「ばかもん!バスケのことちゃんと分かってから言え!」
「花道といたいから、花道のこと見たいから入ったのに…ぐぬぬ…じゃあ3日でバスケのこと分かったら花道担当でもいいですか」
赤「ふん。分かるならな」
「やったー!じゃあちゃんと見てます!」
赤木は嫌味のつもりで返しただけだったが、には“許可”にしか聞こえなかったらしい。
次の瞬間には機嫌が爆上がりし、まるで周囲に花でも咲いたかのような笑顔で練習を見始める。
木「天羽はなんというか…桜木が女の子になったみたいな子だな…」
ヤス「単純王…」
流「どあほう…」
その日の練習は、そんな騒がしさの中で終わった。
花「ふぃー、終わった…」
「お疲れ!帰ろう!」
花「おう!」
花道はその声に合わせて、風のような勢いで更衣室に消えていく。
赤「帰るって、マネージャーは片付けまで…お、おい…」
注意しようとした瞬間、はすでに別方向へ爆速で動いていた。
信じられない手際の良さで、備品の整頓からモップ掛けまで一気に片付けてしまい、花道が戻る頃には体育館は見事に元通りになっていた。
赤「あぁ…」
彩「わ、私の出る幕が…」
木「す、すごいな…」
片付けを終えたタイミングで花道が戻ってくる。
花「帰るぞ!」
「うん!」
花「どっちが速いか勝負だ!」
「やー!待ってー!」
ビュンッ!
二人の姿は次の瞬間には体育館から消えていた。
ただ残された“風”だけが、花道とが走り去った方向を教えてくれる。
彩「な、なんなの…あの子たち…」
赤「わからん…」
木「天羽は桜木のことを追いかけてるからあんなに足が速いのか…」
湘北バスケ部に、嵐のようなコンビが誕生した瞬間だった。